不育症・習慣流産のみなさんへ
精神的支援
1980年代には、3回流産をすると次は100%流産すると私たちも思っていました。その後臨床経験をつんで、3回流産しても出産できることを自信をもってお話しできるようになりました。いまでも3回流産した患者さん自身は、次に100%流産すると思っているのでしょう。流産がショックで避妊をする人もいらっしゃいますが、その時間を無駄にすることによって(加齢によって)出産が難しくなっていることも事実です。
流産した患者さんは自分を責めたり、自尊心が低下する傾向にあります。しかし、多くは胎児の異常で起こり、女性の不摂生や過失で起こるわけではありません。
流産胎児には染色体が3本のトリソミーがみつかります(図28)。流産で見つかる染色体異常は16番トリソミーが最も多く、これは新生児には認められません。ヒトは重篤な発生異常がある場合、生まれることが出来ない運命にあります。この子どもたちは妊娠初期が寿命であり、それが多くの流産の本質です。
しかし、患者さんも含めて流産の原因は適切に知られていません。私たちが1,219人を対象として行った愛知県民調査では、流産の原因を「染色体異常などの遺伝学的要因」と回答したのは非常に・ほぼあてはまるを含めて62%であり、米国人よりも正答率は低い結果でした(図38、文献41)。「長期にわたるストレス」、「ストレスフルな出来事」、「重いものを持つ」を当てはまると答えたのはそれぞれ75%、65%、49%でした。これらは流産の原因だと証明されていない間違いです。また、65%が流産の頻度を実際の15%より低いと回答しました。流産経験のなかには流産したことを罪に感じ、防ぐことができたと考えている人もいました。
患者さんの15%が抑うつ、不安障害を持つことがわかっています。認知行動療法という心理療法によって治る可能性があります。まもなく、アプリを用いて自分で認知行動療法を行うことで抑うつ・不安が軽減するかどうかを調べる臨床研究を始めます。
流産のイメージに関する一般人調査
愛知県民
米国調査
85%のかたが出産できているのだから、前向きに妊娠に向かうことが重要です。とても辛いようでしたら、豆柴ダイヤルの心理士さんがお気持ちを伺います。みなさん、一緒に流産を乗り越えましょう。