- 不育症の定義
- 妊娠は成立するが流産・死産を繰り返して生児を得られない状態
- 習慣流産
- 3回以上連続する流産(不育症に含まれる)
- 反復流産
- 2回以上連続する流産(不育症に含まれる)
- 流産の定義
- 妊娠22週未満の娩出
- 臨床的流産
- 超音波検査で胎のう(妊娠性のふくろ)を確認できる
- 生化学妊娠
- 妊娠反応が出てすぐに消失する。妊娠の60%にみられるとの報告もあり、流産には含めない
- 不妊症
- 妊娠を試みて一年間妊娠できない場合
流産は妊娠の最大の合併症であり約15%に起こります。大多数は妊娠10週未満の初期流産です。これは女性の加齢とともに増加するため、今の日本の妊娠女性の年齢から推定された頻度は15%です。40歳を過ぎると40%が流産するというデータもあります(図2-A)。また、不妊症も年齢の影響が大きく、40歳代では64%の女性が妊娠できないこともわかっています(図2-B)。
我が国の性教育は、birth control(家族計画)が強調されてきたため、結婚すれば容易に妊娠できるとの誤解を女性たちに与えてしまったと思われます。不妊症、不育症の知識を正確に教える生殖教育が行われてこなかった歴史があり、多くの女性が加齢によって妊娠能力を失うことを知らずに妊娠を先送りにした結果、子どもを持つことが出来なくなっているという現実に直面しています。子どもの健康と環境に関する全国調査Japan Environment and Children’s Study (エコチル調査JECS)によれば、習慣流産の頻度は1%、不育症の頻度は5%でした(文献3)。
名古屋市立大学産科婦人科と公衆衛生学鈴木貞夫教授が実施した「岡崎コホート研究」によれば、妊娠したことのある女性の38%が流産を経験していることが判明しました(文献4)。この結果は大変インパクトがあり、2009年8月3日中日新聞等の一面に掲載されました(図3)。
不育症の95%は初期流産を反復しています。日本では12週以降が死産と定義されており、死産の頻度は0.8%のです(文献3)。