研究グループ

不育症・習慣流産のみなさんへ

名古屋市⽴⼤学は、1980年から継続してきた習慣流産研究の実績を評価され、2015年に、⽂部科学省から「不育症・ヒト⽣殖メカニズム解明のための共同研究拠点」の認定を受けました。⽇本初の不育症共同研究拠点が設⽴されました。研究者の皆さんにはより質の⾼い共同研究をご提案いただくことをお願いしたいと思います。
また、本学の研究成果をまとめた教科書「エビデンスに基づいた不育症・習慣流産の診療」を執筆しました(⽂献1)。本ホームページよりもさらに詳細な情報が掲載してありますのでご覧ください。

名古屋市⽴⼤学 不育症研究センター

妊娠できない不妊症に対して、「妊娠はするけれど流産・死産によって生児が得られない状態」を不育症Recurrent Pregnancy Loss (RPL)といいます(日本産科婦人科学会用語集2018)。3回以上連続する流産を習慣流産Recurrent Miscarriage (RM)といい不育症に含まれます。欧州・米国生殖医学会/ WHOはRPL=two or more pregnancy lossesを用いています。 つまり、原因がどうであれ、2回以上流産していれば不育症です。
欧州生殖医学会European Society of Human Reproduction and Embryology (ESHRE)は世界で初めて系統レビューによるRPLのガイドラインを発表しました(図1、文献2)。本学の論文が13篇引用されており、外部委員としてレビューを務めました。
私たち大人が癌や脳梗塞などのいろいろな病気で死亡するのと同じように胎児もいろいろな病気で亡くなります。不育症・習慣流産もいろいろな原因によって起こります。まだ分からないことが多く、そのために研究分野であり、産婦人科医師によっても説明が異なり不安になることも多いと思われます。みなさんにこの病気を理解していただくために名古屋市立大学を受診された不育症患者さんから得られたデータに基づく研究成果を掲載しました。すべて、医学雑誌の厳しい審査を経てエビデンスとなった情報です。不育症・習慣流産は決して絶望的ではなく85%以上の患者さんが出産にいたっています。残念ながら流産を繰り返した患者さんが流産を避けることは困難です。流産と向き合いながら、出産を目指すことが大切です。

図1:欧州⽣殖医学会によるガイドライン

ページ上部
へ戻る